2008年に厚生労働省が実施した「平成18年身体障害児・者実態調査結果」によれば、視覚障害者の総数は、約31万人と推計されています。日本眼科医会によれば、広義の弱視(ロービジョン)者を含めると、164万人にも及ぶとされています。
また、色覚に障害を持つ人(色盲・色弱)は、日本人ではおよそ男性の20人に1人、女性の500人に1人と言われ、日本全体では320万人以上いるとされています。(出典:NPO法人法人カラーユニバーサルデザイン機構)
そのためWebページのデザインに限らず、地図や案内標識、書籍のグラフなど様々な場面において、「色で情報を識別させる」場合での配慮が必要となっています。
視覚に障害を持つ方、弱視の方は様々な支援デバイスを利用してパソコンを利用しています。音声読み上げブラウザ(音声ブラウザ,読み上げブラウザとも呼ばれます)や、スクリーンリーダ、点字ディスプレイ、文字拡大ソフトなどがそれにあたります。
しかし、利用されている支援デバイスは様々でバージョンも異なり、利用者のカスタマイズが何処まで行われているかも知るすべがなく、特定のデバイスや利用者をターゲットにWebページを作成することはできません。
そのためには、私たち制作者が可能な限り多くの支援デバイスに対応できるよう、正しくHTMLを記述する必要があるのです。このことは、視覚に障害を持つ人たちのためだけのものではありません。検索エンジンに正しく情報を伝えるなど、全ての人に有効なことだと考えます。
JIS X8341-3や、W3Cのウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)の規格に100%対応するのは非常に大変です。本サイトでも、対応できていない項目は多くあります。しかし、それらを知った上で少しの配慮を加えることで格段に情報を得やすくすることができるのです。
先にも書いたとおり、日本人ではおよそ男性の20人に1人、女性の500人に1人が何らかの色覚に異常を持っていると言われています。医学的には、非常に細かい分類があるようですが、おおまかに1型色覚(異常)か2型色覚(異常)かに分け、 その異常の程度を軽度、中等度、強度に分ける方法がとられることもあるようです。(出典:滋賀医科大学眼科学講座)
Photoshop CS4からP型(1型)とD型(2型)の方がどのように見えているのかをシミュレーションする機能が搭載されています。障害の程度は様々ですので、これで完璧という訳ではありませんが、Photoshop CS4以降をお持ちの方は、ご自分のサイトのスクリーンショットを是非見てみて下さい。思わぬ部分が見えにくいということが分かるかもしれません。
W3Cのウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)では、赤(R)、緑(G)、青(B)の明るさをそれぞれ0〜255の256段階で表した場合、明度差について( R×299 + G×587 + B×114 )/1000の結果が125以上となることが望ましい、色差については、RGBそれぞれの前景色と背景色の差を取り、合計したものが500以上となることが望ましいと規定されています。コントラストについては、最低でも4.5:1以上を確保することとされてします。
全てのページについて、これらの計算を行うのは現実的ではないので、前述したようなツールを利用してみるのが良いでしょう。